こんな症状ありませんか?

高齢者の腰痛

■はじめに

人はその生涯の中で腰痛を経験しないものはまれであると言われています。日常の仕事を中断しなければならないほどの激しい腰痛から、軽い腰痛まで症状は様々ですが、一般的に経過は良好で、多くの場合やがて腰痛は軽快してしまいます。しかし、中には再発を繰り返したり、痛みが持続したり、長期の経過をとるものがあります。特に高齢者の方にこのような傾向が見られます。腰痛と一口に言ってもその原因は様々です。主なものをあげると、骨粗鬆症によるもの、神経の圧迫によるもの、椎体の変形によるもの、内蔵からくるものなどです。原因が特定できないものもたくさんあります。さて今回は、高齢者の腰痛について原因別に考えてみたいと思います。

■骨粗鬆症

骨粗鬆症とは加齢に伴い、骨の量が減ってしまった状態(若い人の骨量の70%以下)です。日常的な外力に耐えられなくなって、ちょっと転倒しただけで骨折を起こしやすくなってしまいます。骨粗鬆症があると背中や腰の広い範囲ににぶい痛みが持続することがあります。また、重いものを持ち上げたり、しりもちをついたりしたときに脊椎に圧迫骨折が起こると非常に激しい痛みが出現します。骨量を定期的に測定して、自分の骨がどのような状態にあるのかを把握し、必要があればきちんと治療を受けておくことが大切です。

■神経の圧迫

背骨(脊椎)は体全体を支える役割を持っていますが、もう一つ重要な働きがあります。それは脳から出て腰椎まで伸びている神経(脊髄)の通り道(脊柱管)を形成していることです。腰椎から出た神経は殿部から足の方へ伸びる坐骨神経となります。年齢とともに椎体が変形して背骨が曲がったり、椎間板が変性したりして、腰椎の神経の通り道が狭くなると、坐骨神経痛が発生するわけです。CTや MRIで診断することができます。

■内蔵からくる腰痛

腰痛には内蔵に問題があって発生することがあるので注意が必要です。
たとえば、腎臓、尿管、膵臓、胆のう、子宮、卵巣など様々な臓器のいろいろな疾患で腰痛を伴うことがあります。腰痛以外の症状が少しでもあったら、診察の時にドクターに話すようにしましょう。

■原因の特定できない腰痛もある

高齢の方の腰痛の中には原因が特定できない場合があります。それは、前述の要因が複雑に絡み合っている場合が多いからです。そこで、東洋医学的な病気の捉え方、診断方法が役に立つことがあります。たとえば、痛みの部位が体の表面にあるのか深部にあるのか、細部の血流が悪い状態(お血)かどうか、体のエネルギーが低下した状態(気虚)かどうかなどです。漢方薬は通常の痛み止めと違って消化器症状(口内炎や胃の痛み)が出にくいので、長期に服用するのには適しています。また、背筋や腹筋の筋力が弱くなっている場合が多いので、体操など体を動かすことをおすすめします。私たちは、腰痛のない元気で活動的な生活を送ることを応援します。何かご質問があったらお気軽にご相談下さい。