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なぜ立ち上がる瞬間に腰が痛むのか?整形外科が教える原因と対処法

朝、洗面台で顔を洗おうとした時。
ソファから立ち上がろうとした時。
車から降りようとした時。
「イタッ」と腰に痛みが走った経験はありませんか?
普段はそれほど気にならないのに、立ち上がる瞬間だけ腰が痛む。このような症状は整形外科でもよくみられる腰痛の一つです。
実際に外来では、
• 「デスクワーク後に立ち上がる時だけ痛い」
• 「朝起きる時に腰が伸びない」
• 「ソファから立つ時に腰がつらい」
• 「車から降りる時に腰が痛い」
といった相談を受けることがあります。
立ち上がる瞬間の腰痛は、単なる筋肉疲労が原因の場合もありますが、加齢による関節の変化や神経の病気が関係していることもあります。
そのため、「立つ時だけだから大丈夫」と自己判断せず、症状の特徴を知ることが大切です。
この記事では、立ち上がり時の腰痛の原因、考えられる病気、自宅でできる対策、整形外科を受診する目安について詳しく解説します。
整形外科外来でも多い「立ち上がり時の腰痛」
腰痛にはさまざまな種類がありますが、その中でも「動き始めだけ痛い」という症状は珍しくありません。
特に、
• 長時間座った後
• 朝起きた直後
• 車の運転後
• ソファでくつろいだ後
などに症状が出やすい傾向があります。
歩き始めると楽になる場合もありますが、逆に病気のサインである場合もあります。
まずは、なぜ立ち上がる瞬間に腰が痛くなるのかを見ていきましょう。
なぜ立ち上がる瞬間だけ腰が痛いのか?
私たちは立ち上がる際に、
①上半身を前に倒す
②骨盤を起こす
③太ももやお尻の筋肉を使って体を持ち上げる
④腰を伸ばして直立する
という一連の動作を行っています。
長時間同じ姿勢を続けると、
• 腰周囲の筋肉
• お尻の筋肉
• 股関節周囲の筋肉
• 関節周囲の組織
が硬くなりやすくなります。
その状態で急に動くと、筋肉や関節、椎間板などに負荷が集中し、痛みとして現れることがあります。
これが「立ち上がる瞬間だけ腰が痛い」代表的なメカニズムです。
腰痛を来たす要因
立ち上がり時の腰痛は、単一の原因だけで起こるとは限りません。
日常生活の中では、
• 筋力低下
• 不良姿勢
• 長時間同じ姿勢を続ける習慣
などが腰痛を引き起こす要因になると考えられています。
特にデスクワークや車の運転などで座っている時間が長い方は、腰や股関節周囲の筋肉が硬くなりやすく、立ち上がる瞬間に腰への負担が集中しやすくなります。
また、運動不足による筋力低下や猫背などの姿勢不良が加わることで、さらに腰痛が起こりやすくなることがあります。
立ち上がると腰が痛い原因となる主な疾患

筋筋膜性腰痛(筋肉の疲労や緊張)
立ち上がり時の腰痛で最もよくみられる原因の一つです。
いわゆる筋肉痛のタイプです。
長時間のデスクワークや運転によって筋肉が硬くなると、動き始めに痛みが出やすくなります。
特徴
• 歩くと楽になる
• 夕方に悪化することもある
• 動き始めに痛みがある
• 画像検査で大きな異常が見つからないこともある
こんな方に多い
• デスクワーク中心
• 運動不足
• 長時間の運転が多い
椎間関節性腰痛
腰椎の後方には「椎間関節」という関節があります。
加齢や長年の負担によって関節に変化が起こると、立ち上がり時や腰を反らした時に痛みが出ることがあります。
椎間関節に炎症が起きることで腰痛の原因になると考えられています。
特徴
• 朝起きる時に痛い
• 腰を反らすと痛い
• 動き始めが痛い
• 長時間同じ姿勢の後に痛い
椎間板の炎症
背骨と背骨の間にある椎間板はクッションの役割を担っています。
長時間座ることで椎間板への負担が増え、立ち上がる際に痛みが出ることがあります。
特徴
• 長時間座ると悪化
• 前かがみ動作で痛い
• 重い物を持つと痛い
その他鑑別すべき疾患
腰部脊柱管狭窄症
加齢による変化で神経の通り道が狭くなる病気です。
腰痛だけでなく、足のしびれや歩きにくさを伴うことがあります。
特徴
• 長く歩けない
• 足がしびれる
• 前かがみで楽になる
• 休むとまた歩ける
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアは、背骨の間にある椎間板の一部が突出し、神経を圧迫することで症状を引き起こす疾患です。
腰痛だけでなく、お尻から足にかけての痛みやしびれ、筋力低下などを伴うことがあります。
特徴
• 腰痛
• 臀部から下肢にかけての痛み
• 下肢のしびれ
• 下肢筋力低下
骨粗しょう症による圧迫骨折
高齢者では見逃してはいけない原因です。
転倒や尻もちの後に腰痛が続く場合には圧迫骨折の可能性があります。
更年期以降の女性にリスクがあります。
症状別にみる「動き始めの腰痛」
朝起きる時に腰が痛い
朝は筋肉や関節がこわばりやすく、起床直後に腰痛を感じることがあります。
一方で、加齢による関節の変化や炎症が関係していることもあります。
朝だけでなく日中も症状が続く場合は注意が必要です。
ソファから立つ時に腰が痛い
柔らかいソファは骨盤が後ろに倒れやすく、腰に負担がかかることがあります。
長時間座った後に立ち上がる際、腰や股関節周囲の筋肉に大きな負荷がかかるため痛みが出やすくなります。
車から降りる時に腰が痛い
車内は狭く、腰をひねりながら立ち上がる動作が必要になります。
そのため腰への負担が大きく、筋肉や関節に痛みが出ることがあります。
デスクワーク後に立つと腰が痛い
近年特に増えている相談です。
長時間同じ姿勢を続けることで筋肉や関節の柔軟性が低下し、立ち上がり時に痛みが出やすくなります。
年代別に考えられる原因
20〜40代
比較的若い世代では、日常生活や仕事による負担が原因となることが多くあります。
• 筋筋膜性腰痛
• 姿勢不良
• 運動不足
• 椎間板への負担
デスクワークや長時間のスマートフォン使用などにより、腰や股関節周囲の筋肉が硬くなり、立ち上がり時の腰痛につながることがあります。
50〜60代
加齢に伴う変化が少しずつ現れ始める年代です。
• 筋力低下
• 椎間関節の変化
• 脊柱管狭窄症
若い頃には問題なかった動作でも、筋力や柔軟性の低下によって腰への負担が大きくなることがあります。
70代以上
高齢になると骨や神経の病気にも注意が必要です。
• 圧迫骨折
• 骨粗しょう症
• 脊柱管狭窄症
特に骨粗しょう症による圧迫骨折は見逃されることもあるため、強い痛みが続く場合には早めの受診が大切です。
立ち上がり時の腰痛セルフチェック
以下に多く当てはまる場合は、筋肉や姿勢の影響が考えられます。
- □ 歩くと楽になる
- □ 長時間座った後に痛い
- □ デスクワークが多い
- □ 運動不足
- □ お尻や太ももが硬い
- 一方で、
- □ 足のしびれがある
- □ 徐々に悪化している
- □ 夜も痛い
- □ 転倒後から痛い
- □ 長く歩けない
場合には整形外科への相談をおすすめします。
※セルフチェックだけで原因を判断することはできません。
放置するとどうなる?
痛みを避けるために体を動かさなくなると、
腰痛
↓
活動量低下
↓
筋力低下
↓
さらに腰痛
という悪循環に陥ることがあります。
また、病気が隠れている場合には治療開始が遅れる可能性もあります。
症状が長引く場合や繰り返す場合には、原因を確認することが大切です。
腰への負担を減らす正しい立ち上がり方
立ち上がる際の動作を工夫することで、腰への負担を軽減できる場合があります。
①椅子の前方へ移動する
②足を少し引く
③上半身を前へ倒す
④太ももとお尻の力で立ち上がる
腰だけで体を持ち上げようとせず、下半身の筋肉を使うことがポイントです。
今日からできる予防法
30〜60分ごとに立ち上がる
長時間同じ姿勢を続けないことが大切です。
デスクワーク中でも定期的に立ち上がり、軽く体を動かす習慣をつけましょう。
ウォーキング
無理のない範囲で継続しましょう。
ウォーキングは腰周囲の筋肉や下肢筋力の維持に役立つだけでなく、血流改善も期待できます。
股関節・お尻のストレッチ
股関節やお尻の筋肉が硬くなると、立ち上がる際に腰へ負担が集中しやすくなります。
あぐらの状態で座り、背筋を伸ばしたままゆっくりと骨盤と上半身を前へ倒していくと、お尻の筋肉をストレッチすることができます。
無理に反動をつけず、気持ちよく伸びる範囲で20〜30秒程度行いましょう。
柔軟性を維持することで、腰への負担軽減につながる可能性があります。
下半身の筋力維持
お尻や太ももの筋力維持は立ち上がり動作の改善に役立ちます。
軽いスクワットがおすすめです。
膝や腰に痛みがある場合は、無理をせず医師や理学療法士に相談しましょう。
こんな症状がある場合は整形外科を受診しましょう

以下のような症状がある場合には、早めの受診をおすすめします。
• 足のしびれがある
• 足に力が入りにくい
• 数週間以上続く
• 徐々に悪化する
• 夜間も強く痛む
• 転倒後から痛い
• 発熱がある
• 原因不明の体重減少がある
• 排尿や排便の異常がある
整形外科医からのコメント
立ち上がり時の腰痛は、筋肉の疲労や関節への負担によることが多い一方で、神経の病気や骨粗しょう症による骨折が隠れていることもあります。
痛みが続く場合やしびれを伴う場合には、早めの受診をおすすめします。
当院で行っている腰痛治療
当院では、立ち上がり時の腰痛に対して診察や画像検査を行い、必要に応じてリハビリテーションや運動療法を組み合わせながら治療を行っています。
症状の原因は患者さまごとに異なるため、一人ひとりに合わせた治療方針をご提案しています。
よくある質問
Q. 朝起きると腰が痛いのはなぜ?
睡眠中は筋肉や関節を動かす機会が少なく、起床時にこわばりを感じることがあります。
Q. 車から降りる時に腰が痛い原因は?
腰をひねりながら立ち上がるため、腰や股関節への負担が大きくなることが考えられます。
Q. 立ち上がりの腰痛はぎっくり腰の前兆ですか?
必ずしも前兆とは限りません。
ただし、腰への負担が蓄積しているサインの可能性はあります。
Q. 腰痛ベルトは効果がありますか?
症状によっては腰への負担軽減に役立つことがあります。
ただし長期間の使用については医師へ相談しましょう。
Q. マッサージは受けてもいいですか?
筋肉の緊張が原因の場合には楽になることがあります。
ただし病気によっては適さない場合もあります。
Q. どれくらい続いたら受診すべきですか?
数週間続く場合や日常生活に支障がある場合には受診をおすすめします。
Q. MRI検査は必要ですか?
すべての腰痛に必要なわけではありません。
診察やレントゲン検査の結果を踏まえて検討されます。
Q. 湿布だけで治りますか?
湿布は痛みの軽減に役立つことがありますが、根本原因の改善には生活習慣や運動習慣の見直しも重要です。
監修医プロフィール

監修医:なかがわ整形 院長 中川弘彰
資格
• 日本整形外科学会専門医
専門分野
• 腰痛
• 脊椎疾患
• リハビリテーション
• スポーツ整形
まとめ
立ち上がる瞬間の腰痛は、筋肉の緊張や関節への負担、椎間板へのストレス、筋力低下などが原因となることが多くあります。
一方で、脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニア、圧迫骨折などの病気が隠れていることもあります。
長時間座り続けないことや適度な運動を心がけるとともに、症状が続く場合やしびれを伴う場合には整形外科で原因を調べることが大切です。
痛みを我慢し続けるのではなく、早めに原因を知り、適切な対策を行うことが改善への第一歩になります。
当院について
〒869-1113
熊本県菊池郡菊陽町花立3丁目14-10
医療法人フォーチュン
なかがわ整形